井筒Kの、Jazzとレトロとユーモラウス

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忙しさだけが例年に勝る12月にかまけ、ブログ更新は年内にあと1回できればいいなと思っていた。
そしたら、いつも本ブログを読んでいただいている野口さんから、「更新して」と発破をかけられた。
人は未来に希望を持てないと真面目には生きていけない(やさぐれて生きていくことはできる
ようだが)のと同様、ブログも読んでくれる人の存在を感じられないと書けないもんです。
さて今日は、車のクラクションと船のエンジン音がけたたましい上海の最終回をお届けします。

この写真は、高層ビル群の新興地区から、大河を隔ててコロニアル地区を望んだ風景であります。
上海といえば、観光名所はコロニアルな租界地区が有名ですが、この運河だか大河だかの茶色い川
が今でも物流の中心だと思う。だって、どでかい貨物船がひっきりなしに行き交ってたから。
余談だが、10年ほど前に初めて訪れた時は、地図も見ないで行ってしまったので、あたしゃ
てっきり上海って海辺の街かと思ってたのよ。だって、何たって、「上海」って書くでしょ。
そしたらあーた、海、ないの。この川なんですわ。
ところでこの川、日本人には違和感がある。我々の川では大きなタンカーみたいな船は行き来しな
いからです。百聞は一見にしかず。未体験の人は、来年の6月からだったと思うが万国博覧会もあ
るから、行くべし。
さてこの写真のところでミュージッククリップ用の簡単な撮影を行った。カメラマンは今回僕を泊めて
くれた友人であり上海在住の台湾の婦人です。紹介しておこう。なかなかのハイソサイエティである。
この婦人から聴いたロマンチックな話がある。今回の港湾工事で取り壊されてしまったらしいが、
この大河の岸辺にホテルがあったんだそうだ。この婦人の知人の男は毎月、大河に面したそのホテルの
ペントハウスを借り、愛人に大きな赤いバラの花束を花瓶にさしてプレゼントし、コロニアルな窓を全
開にして大河の香りを嗅ぎながら一晩を過ごすのを習慣にしていたそうだ。近年までその習慣は続いた
という。

さてさて、もう1曲分撮影しておこうというわけで、乗船券が日本円にして約7円のワイルドでどかい
渡し船に乗り、3時間ほども待たせておいた、彼女が雇っている運転手の車でロケ場所探しにGo。
そしてたどり着いたのが、このレストランである。今度は逆に対岸に先ほどの撮影場所の新興地域を望
む立地というわけだ。
パームツリーがコロニアルな雰囲気をかもし出していて、なかなかであった。
それにしても何度見ても、このテレビ塔のデザインはイケテル。デザイナーもさることながら、
この案を採用した奴がすごい。それにても景色が煙ってるでしょ。上海は、おそらく排気ガスなどの
光化学スモッグで、いつもスモッギーなんです。しかしこれが、景色の美しさと異国情緒で
エロチックに見えてしまうので不思議なんだなこれが。

今回の上海で撮影した簡単ながらミュージッククリップは、来春ごろ私のユーチューブページにアップ
見込みです。http://www.youtube.com/user/jazzk222
そして最後に、上海編の締めくくりとしてレポートしておきたいのが次の2点である。
第一に、上海は貧富の差が激しいということ。日本が貧富の差が出てきて2局分化したと言われるが、
上海ほどは目に見えないね。上海郊外に行けば、染みつきの汚い服を着た人たちが大勢生活していた。
下の写真を見てほしいが、これは酒屋である。紹興酒しか置いてなさげだ。おそらく日本円で5千円
も出せば、カメごと買えそうだ。

そして第二に、エネルギーがすごいということ。中国人は性格が強いから尚更だ。今はまだまだ貧しい
一般中国人だが、「明日は今日よりすばらしい」と皆が思ってた経済成長時代の日本がそうであった
ように、手がつけられないぐらいに上海人はしばらく元気そうである。そしてあと15年で底辺の上海
市民の人たちでさえ経済的には日本を追い越すだろうとの見方もある。
さて大不況の只中の日本に住む、我々日本人は、市民として今なにをしたら良いか考えてみたんですが、
物事を中期的にとらえてみるのが良さそうな気がします。
つまり、今までの人生と、近い将来経済が少し良くなる地点を結ぶ、中間地点として今の時期をとらえ
るという考え方です。今の時期をクールダウンの時期として活用するわけだ。
私なんか消費文化の申し子の生活を送ってきたので、物事を表面的にしかとらえてこなかった。
だから今、体系的にとらえ直したり、考えてみたりする絶好の時期だと思う。
それから、特に東京の人は心が一層すさんで来ているから、人間性を取り戻さないといけない。
だから、不況ルネッサンス運動だ。この話は余談に収まらないので、また別の機会にします。
ま、心配しなくても不況には慣れることだろう。聴いた話では、何年も前から先に不況に陥っていた
札幌では、不況に慣れてきて、あるいは地味に生活するのにも飽きてきて、最近では少し消費が活性化
してきたという。今が一番苦しいときと、ま、思おうではありませんか。
この時期に、その道の人に会って教えをこうたり、本や音源やインターネットや、テレビやで興味の
あるものごとを研究し、近いうちにやがて来るであろう経済的上昇にそなえるのだ。
今が、物事を深く研究する絶好のタイミングである。